小規模M&A

会社員時代に規模の小さい企業をM&Aした。

年商ベースで本業の1/30程度だったのであまり大きくない。新規ビジネスをスタートさせるよりも既に顧客・売上げを持っていたので早くビジネス化ができる。

当時、ハゲタカ(上)新装版 (講談社文庫) [ 真山仁 ]を愛読していた事もありM&Aに対してかなり興味を持っていたのだが、社内的には反対派が多かった。

秘匿性が重要であることから、買い手側にも秘密保持契約が結ばれ、周りにバレないように買収候補を探していた。

8年間、M&Aコンサル会社からいろいろな企業の提案を貰ったが、正直にいうと魅力を感じる企業は無かった。

社長個人の力で運営されている会社、借金が多い会社、本業とのシナジーが生まれない会社は候補から削除した。

やっと候補先が見つかり、M&Aする段階になってからが一苦労。反対派への説得ほど無駄な労力は無い。異文化が入ってくる事を凄く嫌うのである。買い手側でもそうなので、売り手側はもっと酷いだろう。

売り手の7割は「売って良かった」と言い、買い手の7割は「買わなきゃ良かった」と言う。

M&Aと言うのはそれだけ難しい。けど3割は買って良かったと思うのであれば、新規ビジネスの成功確率よりは高いのではないか?

 

10年振りに後輩から連絡が来た。名刺には食品会社の社名が記載されている。

勤めていた会社を辞めた後、縁もゆかりも無い老夫婦二人で営む食品会社を事業継承したと言う。

高齢で後継者も居ないため事業を畳もうと思っていたが、顧客が居るため引き継いで貰える人を探していたらしい。午前中は食品を作り昼から発送作業。今は一人で行っている。

引き継いだ当初、月の売上げは十数万しかなかったらしい。老夫婦なら年金と併せて十分だったのだろう。

後輩が最初に行ったのは顧客開拓。朝8時から営業電話を行い、試食用のサンプルを送る。100件電話をすれば20件がサンプルを希望し、その後5件が商品の購入に繋がるらしい。

今は先代の自宅の片隅で事業を行っているが、工場の拡張を検討し「年商4000万は見えた!」と言う。

老夫婦は若者が出入りする事により、社交的になり、今まで出来なかった旅行などを楽しんでいる。これこそWIN-WINの関係ではないだろうか?

成功の要因は・・・双方に欲が無かったと言える。譲渡側の老夫婦は特に設備的にも資産価値が無かったので事業を無償で譲渡した。また譲受側の後輩も条件を言わずに、売った分の利益の半分を当初の給料として貰う契約で事業の引継ぎに着手した。

当初は5万程度しか貰えなかったようだが、その分多くの新規開拓をし結果的に売上げも多くなった。

業務用がメインの為、「直の客を作ろう!」と二人で近場のスーパーで催事販売を行った。店長に「場所を貸してください」と直接交渉し、クーラーボックスに在庫を入れて販売をした。

業務用で高級な為、当然そんなに売れるものでもなかった(笑)それでも直の顧客より業務ルートの方が効率が良いことを再確認できたことがメリットである。

売上げは2万程度だった。正直心が折れそうになったがフットワークの軽さが若者の特権である(そんなに若くないが)。老夫婦はそんな事業継承者を暖かく見守っている。

経営者の高齢化で、事業継承の問題はいたるところであるのではないか?

銀行、証券会社、M&A仲介会社が取り扱う案件はどれもある程度の規模だと思う。当然仲介料のマージンは取引額が多いと多くなるのでしかたない。

それよりももっと小さな事業継承のマッチンができるところはないか?商工会議所などでもしているようだが、秘匿性のためあまり情報が開示されない。

もっと手軽に情報を入手できれば、手を上げる若者が出てくると思うのだが・・・

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